永い年月と共に使われてきた、独特の風合いから醸し出される現代の家具とは全く違う雰囲気を持つヴィンテージ家具。当時の美しい木質の素材感と北欧ミッドセンチュリー時代の洗練されたデザイン性が存在感を放ちます。素材は現在では稀少となりつつある高級な木素材、チーク材やローズウッドが使われています。北欧の家具は、日本の住宅とも非常に相性がよく、畳や障子のある部屋にヴィンテージ家具をしつらえても違和感なく上質な空間に仕上がります。部屋のアクセントのひとつ、空間をより深く演出する最高のアイテムとして、1950年代、60年代から親しまれてきた上質な存在。ヴィンテージ家具は、それらを再生し蘇らせたものです。
長い船旅により日本に入ってきた家具達のコンディションは実にさまざまです。当時のキズやシミがそのままの状態で、破損している場合もあります。メンテナンスは、まず古い塗装やオイルをアルコールで木の素地が見える状態まで丁寧に落とします。次は表面を薄く削り取る作業です。粗めから細かめのサンディングを掛け、その時点で細かいキズを無くします。深いキズや欠けた部分はパテ埋めし、細かく木目を書き込みます。最後は家具の状態にもよりますが、オイルを2回3回と拭き込んで時間をかけて仕上げます。その他ガタツキをなくすために細かなレベルあわせをし、引き出しや扉がスムーズに動くように調整すれば、修理・メンテナンスの完了です。
セイコーヴィーバスがショールームに展示しているヴィンテージ家具は、非常に丁寧な仕上げで、まるで新品のようだと驚かれる方もおられます。
それはヴィンテージ家具を愛し一点一点にこだわってメンテナンスしてくれる職人がいるからこそ実現できた事。金具や鏡などのパーツの付け直しを細かく行ったり、塗装をはがし丁寧に塗り直すという、一見手間とも思える作業をすることで、60〜70年という長い年月で築きあげられた風格は残しつつ、美しい仕上がりとなるのです。
こうした工程から教わるのは「使い続けること」の大切さ。それはセイコーヴィーパスの家具への想いでもあり、伝えたいことでもあります。
ヴィンテージ家具は、新品の家具にくらべると多少デリケートな部分があります。引き出しにはレールが付いていない物が多く、重い物を入れるには向いていません。汚れにも敏感なため利用するには気を使う部分もあります。しかしそれがまた愛着となり、丁寧な使い方とメンテナンスを通して、家具は何世代にも受け継がれるものとしてお使いいただけるのです。
それはヴィンテージに限らず、家具に限らず、良いものを大切に使い続け、受け継いでいくためには当たり前のことなのかもしれません。